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ジブリ『コクリコ坂から』を観て [見たもの]

最近のジブリ作品は、どうもピンとくるものがなかったので、今年の『コクリコ坂から』も、どうしようか
と思っていたが、息子に「行こう!」と誘われて近所の映画館でレイトショーがあるので行ってきた。
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「古くなったから壊すというなら、君たちの頭こそ打ち砕け!
古いものを壊すことは、過去の記憶を捨てることと同じじゃないのか!?
新しいものばかりに飛びついて、歴史を顧みない君たちに未来はあるか!!
少数派の意見を聞こうとしない君たちに、民主主義を語る資格はない!!」

このセリフは深いよ・・
そんなことを考えていたら気づくと、タイムマシンに乗って過去と現在を行き来していた。

過去・・・そういや、私の通っていた県立高校も、映画の中ほどではなかったけど、”民主主義の風”
がまだまだ吹いていたよなぁ。京都で過ごした学生時代も、学生運動の残り火がまだチロチロとあ
ったよなぁ。あんな風にアジテーションしていた人は今どうしているだろう。あの時の経験はどう今
につながっているんだろうか・・
現在・・私たちが住む街、日本、そして世界のことに視点が向く。その瞬間、このセリフは、私が
なぜ、今の仕事をしているのかという、私自身の本質にまっすぐに飛び込んできた。
多くの礎を作ってきてくれた女性の先達への思い、ファシリテーションという共働の技術を広げ、
人々の合意とそれによる平和への道を創ろうとしている私の仕事のあり方が、言葉ではく、何か
一つのイメージのように膨れてポンッと私の中で弾けた気がした。
合理性と速度にあおられて何が本質かを全く見失っている社会の有り様、力に任せ、人を蹴落とし
てでもビジネスの場で成功しようとしている人たち。
私が最も嫌いなものであり、もっとも避けたいものであることも、再認識する一瞬だった。

たった一つのセリフでこんなに心が揺さぶられるのは、久しぶりかもしれない。


朝鮮戦争というキーワードであったり、学生たちの闘争と議論が中途半端だった、イマイチだった
と息子は言うが、私の個人的な感想は伝えず、まぁ、高校生の恋愛ものと思えばいいんやないか。
1963年という時代背景、”戦争と戦後”というキーワードで表される風景や出来事は、50代以上の
大人の心の中にある郷愁を誘うものとして、なかなかよいのではないかと言っておいた。

これまでのジブリ映画には、数知れず触発されてきたが、この「コクリコ坂から」は、ジワジワと
内側から私の”何か”を変えるものになるかもしれない、な。楽しみ。
みなさんも、どうぞ映画館で観てください。いい映画でしたよ。

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